異業種からのドライバーが活躍するためのシステムと組織づくりを【株式会社国際トランスサービス 早野社長】

今回は、株式会社国際トランスサービスの早野社長にインタビューをさせて頂きました!物流業界の社長には珍しい他業界出身の社長・早野さんは、戦略も組織づくりも「他業種出身ならでは」のものを進めています。この物流業界の経営者さんは必読のインタビュー記事です!

―――早野さんの今に至るまでのキャリアを教えていただけますか?

私は大学卒業後、まずは大手SIerに17年間在籍していました。初めは『大型汎用コンピューター』のシステムエンジニア(SE)で、その後、世の中の流れ、つまりダウンサイジングに伴って、大型コンピューターからオフィスコンピューター、パソコンまで一通り担当していました。

そのようにSE職を極めていたのですが、あるタイミングでシステムと営業の中間に位置する販売促進のセクションに異動することになり、そこで成果を上げることができて本社中央スタッフに、管理職に昇格して着任しました。そこでの2年間で結果を残すことができて、担当役員から「この後はどこの部署に行きたいか?」と問われたので、今まで経験したことがなかった営業職を希望し、希望した営業の部署に異動することになりました。

当時の営業部門は、「受注・売上・利益」の3つの指標を半期単位で目標を立て、実績評価をしていくというやり方だったのですが、私が異動した先の営業部門でもすぐにその3つを達成することができました。その後、ちょうどその頃世間ではインターネットの黎明期だったので、インターネット専門の営業とシステムが一体となった部門を立ち上げるとのことでそこの責任者に抜擢されました。

ちょうどその時期に、ASPIC JAPANというASP(アプリケーションサービスプロバイダー)の任意団体が立ち上がっており、私は会社代表として出席していました。実際に出席してみると、周りはすごい方々ばかりでした。毎月の会合に出席している中で、いろいろな方からお誘いを受けたので、もし自分が転職をするとしたら、このような成長性がある分野でキャリアパスを考えたいと想うようになっていました。

そういうことを考え始めているときに、2年前に会社を辞めて保険会社で働いている一番仲の良かった同期からスカウトが来たのですが、考えても見なかった業界なので、すぐに「行かない」とあっさりと断りました(笑)。「自分は今、成長性があるインターネットの世界で働いているので、この業界での転職はあるが、全く考えてもいない保険のような業界は行かない。」と断る理由を答えていました。

しかし、その同期も簡単には引かず、「1回だけでいいので、うちの支社長の話を2時間だけ聴いてほしい。」と懇願してきたので、結果的に2時間だけ話を聴くことになりました。

そうしたら、私の考えや気持ちもその2時間で簡単にコロッと変わってしまいまして(笑)。


―――その同期の方は、どうして早野さんを誘われたのでしょうか?

その生命保険会社というのは外資系の会社で、日本にある生命保険会社約40社ほどある中で唯一、前職が保険会社の人は採用せず、そして尚かつ、前職で他業界のトップセールスマンの人しか採用しないのです。

私自身は当時管理職だった訳で、管理職が辞めて他業界に行くなんてあり得ない話だったのです(笑)。その後の保険会社のセッションと言う説明会に何回か出席して、その後の面接でも合格することができて、自分でも腹を括らなければならないと考え、誰にも転職活動をしていることは話していなかったので、そこで初めて妻に相談しました。「転職しようと想っている。」と話をすると、反応は、「はぁ?」でした(笑)。

―――それはそうですよね。いわゆる、順調に出世街道に乗っていた訳ですから(笑)。

そうですね。入社してから3年目で社長賞をいただいたり、比較的に若い年齢から責任のあるポジションをまかせていただいていたりしていましたので、そういう反応だったのだと想います。極め付けは、先ほど話に出た『インターネット専門のセクション』も、結果的に私が辞めた2ヶ月後に解体することになってしまいました。

妻に話をした後、正式に会社を辞めるということを上司に話をしたら「ふざけるな」と言われました。同僚からも「やめておいた方がいい。」「このまま残っていたほうがいい。」と言われていました。さらには担当役員にも話が回り、「ふざけるな」と言われました(笑)。まあ、結局は何回も自分の想いを伝えて、辞めることができて保険業界に移る訳ですが、その後17年ほど保険業界にいました。その間にMBAも取り、自分で実際に会社を起業したのですが、株主とのある事情があり、自分で起業した会社を一旦代表を返上して、サラリーマンにあらためて戻るという時期もありました。

ただ、どこかのタイミングでまた経営層で仕事をしたいという想いがありまして、たまたま弊社・国際トランスサービスが社長公募をしているのを見つけ、約30人の候補の中から私が選ばれたという形です。ですから、私は物流業界に今までのキャリアの中で、何の接点もありませんし、3年前に初めてこの業界に飛び込んで来たのです。


―――なぜ、社長公募に応募されたのでしょうか?物流業界だったからなのか、何か他の理由があったのでしょうか?

理由は、先ほどもお話した「いずれ経営層で仕事がしたかった。」ただそれだけですね。自分で過去に起業をしていますし、MBAの資格も持っていた上で私も当時56歳だったので、もう一度どこかで経営層の仕事をするにはと模索していく中で、公募への応募をしたということです。

その公募も、30人全員が「社長になりたい」というそうそうたる方々が集まっていました。最初にオーナーから今回の公募の概要説明があり、その説明から個別面接に進む希望の人が10人くらいいて、最終的にはその中から私が選ばれたのです。

―――御社は、軽貨物をやられておりますが、ドライバーの多くを正社員で採用しています。このあたりは、どの様なお考えを持たれているのでしょうか?

私が着任した頃には、当社が1986年に創業していて、2006年から2016年で前々社長が『生協』を中心に事業展開してきて、これが主事業でした。その当時から、オーナーからは、「一本の事業だけだと何かあった時に崩れる、二本目・三本目の柱を作れ」と言われていたのですが、結果的のその前々社長は新しい柱を作れなかったのです。2016年の11月に公募で選ばれた前社長が、2ヶ月かけて引き継ぎをした後、2017年1月から前社長が『新しい柱』を仕掛けるためにオペレーションし始めるのですが、間もなく病欠で出勤できないこととなり、あらためての公募で私が4月に着任しました。

その後、実際に私がやるべきミッションは何かというと、もちろん『新事業をいかに早く立ち上げるか』ということでした。4月19日に着任後、すぐに日本郵便と事業提携を仕掛けたのですが、当時私の直下に生協の責任者だった取締役がいまして、私が着任する直前で日本郵便様との事業提携の事前打ち合わせを一度だけ行ってきているのです。

その取締役が、事前打ち合わせを基に事業計画を立てるのですが、「黒字化が難しいので、お断りしたい。」という結論をすでに出しており、次回日本郵便様との面談では断る方向性でした。結果的に、日本郵便様との面談では、色々な経緯があり、最終的には「やります」と私が言いました。


―――それは隣にいた取締役も驚きますよね。「やるの!?」みたいな(笑)。

そうですね、驚いていました。日本郵便様からのオーダーは、3つのエリアのうちのまずは1つのエリアを6月1日から担当してほしいということでして、それを4月末にその場で決断しました。しかし、当時は軽貨物事業を行うには3つの必要要素があり、『人・車・駐車場』そのいずれもが全く揃っておらず、そんな中で決断を下したので、驚いていました。

その後、すぐに求人広告の原稿を作成し、5月15日に求人広告が公開となり、そこから怒涛の勢いで面接をして、採用活動をした結果、5月30日(事業を開始する2日前)に正社員としてようやく最低人数の3人が揃いました(笑)。もちろん、人だけでなく車も至急調達し、駐車場も色々なネットワークを利用して確保することができ、6月1日に何とか予定通り事業を開始できたという状況でした。

逆に主事業であった生協の方は、毎月初に定例ミーティングがあるのですが、関係が良好ではありませんでした。それは当然ですよね、短期間のうちに社長が立て続けに変わってしまっている訳ですから、信頼も何もなくなっていました。結局、私が就任当時は7つあった事業所が、すぐに6つに減らされ、2ヶ月後には5つに減らされという状況でした。最終的には、「2018年の3月には契約を打ち切ります」と言われました。当時200人の従業員と生協向け専用のトラック100台があったので、最終的なオーナーの判断で全てその事業全体を売却することに決めました。

この様なバックグラウンドがある中で、『正社員』にこだわっていたのは、軽貨物配送というのは、ほとんどがオーナードライバーなのですが、私が現場のたたき上げではなく先入観もなかったので、全く新しい事業体のところで、新しい事業形態でやっていった時に、正社員の方がいいと私が判断したからです。あまり前例がないこともあり、色々な人から「絶対にやめた方がいい」と言われました。

ですが、当時はこの部分のところで事業を成り立たせたいと想っていました。なぜかというと、この業界は伸びると確信していたからです。事実、2018年度には40億個の宅配の荷物が2025年には60億個に増えると予測されていました。今の時代において、これだけ伸びるとされている産業はなかなか珍しいですよね。

ただ、業界が伸びると予測される一方で深刻な人手不足も予測されています。そのような中で、この業界で勝ち残っていくためには、同業種からドライバーを引っ張ってくるのではなく、他業種の未経験の人財を引っ張ってきてしっかりと教育して戦力にするということが重要で、人財採用の部分に一番力を入れているというのが、我々の方針です。

事実、弊社の従業員の9割が未経験者、かつ全体の8割が全く異業種から移ってきた人たちなのです。通常の軽貨物の会社というのは、ある社長がドライバーからの叩き上げで、そこに信奉者がついてきてという『文鎮型組織』な場合が多いです。Aさんは1のコース、Bさんは2のコース、Cさんは3のコースという自己完結型といった形で、AさんがCさんの仕事を手伝うこともなければ、CさんがAさんのコースを手伝うこともない。なぜならば、自分の稼ぎは自分でキチッと確保すべきという考えがあるからです。

それと比較して弊社は、私の下に部長がいて、支店長がいて、事業所長がいて、リーダー制をひいていて、その下にメンバーがいるという形になっています。通常のピラミッド構造がある組織として、組織全体で担当のエリアの配達完了を上げていく方式なので、荷主様から見たら、生産性だとか品質が確実に高い組織形態として認識してもらえる訳であり、『全く異質の組織』を弊社が創っているということです。


 

―――なるほど。その部分が他社との差別化になっている訳ですね。

それは確実に目指していますね。はじめはゆうパック事業をかなり多く展開していたのですが、私が目標としていた生産性、例えば一日100個と言うのを私の計画通りにはなかなか達成することができなく、赤字の事業所が増えてしまったので、赤字の事業所のところを全て閉めて、他の新事業体を開拓してそこにメンバーを移してきたんです。赤字の部分は閉めて、黒字化を見込める所をしっかりとやる。そうやって収益構造をつくってきました。

―――言える範囲で構わないのですが、一人ひとりのドライバーさんの損益分岐は何ヶ月ほどで達成されているのでしょうか?

3ヶ月くらいを目標にしています。

―――正社員でドライバーを雇うと言うのが組織の強さになっていき、オペレーションも改善されていくと言う感覚でしょうか?

それもそうですし、先ほどお話したピラミッド構造の中の末端のドライバーは、正社員もいれば業務委託の場合もあるのです。他社と違うところは、ドライバー未経験であっても業務委託をするという部分です。そして、ピラミッド組織の構造の中で、正社員であろうが業務委託であろうとも独り立ちできるまで我々が徹底的にフォローすることには力を入れていますね。

―――基本的には軽貨物メインで事業展開を考えているということですか?

現時点ではそうですね。お客様のニーズによって、もっと大量に運べるハイエースクラスの車を用意して一般貨物にも対応できるように模索している部分はあります。


 

―――他に御社の差別点というのはありますでしょうか?

これからの話になるのですが、ベテランのドライバーであればその日1日の荷物とその配達希望時間を把握し、今までの経験から効率的なドライブルートを自分で組み立てて走ることができると想いますが、新人もしくは未経験の人はなかなかそれができません。すると、1日の目標配達数を達成することができなくなりますよね。それを改善するために、弊社オリジナルの最適配送システムを開発し、今現在テストを始める段階にあります。最適配送システムが組み立てたルートに基づくナビの通りに運転するだけなら、誰にでもできますから、それを目指しています。

―――それは自社でシステムを開発しているということですか?

そうです。これは私自身が元々SEだったという背景があるからかもしれませんが、それに加えて、先ほど説明したオーナードライバーがいる文鎮型の組織構造であれば、このようなことは考えないと想うんですよね。私は、先のことを見た時に自分の会社がどのポジションで仕事ができるかというのを考えた結果、このシステムを開発するに至りました。

先ほども述べたように、「異業種から業界未経験者が移ってくる。そこが成果を上げる。」これを世の中の人に想ってもらえるようになれば、ベストだなと考えています。

―――そのシステムを他の会社に提供することは考えているのでしょうか?

業界全体を良くしていくためにも、それも視野に入れています。

―――この先のビジョンや展望というのを教えていただけますでしょうか?

今、部長にも指示しているのは、ドミナント戦略として、「あるエリアでは、ゆうパック配送もアマゾン配送も企業配も担当できます。」というようにしていきたいと考えています。その方が、人のやり繰りがやりやすくなると想いますし、人事異動や応援といったことも出来るようになりますので、そこを目指しています。つまりは、もっと配送効率・生産性を高めたいという部分です。


 

―――業界をどういった形で引っ張っていきたいとお考えでしょうか?

今、現段階で物流業者・運送業者は6万社くらいありますが、専属で軽貨物の車を100台持っているところはあまり多くないのです。実は弊社は、軽貨物車両98台保有していますが、実際に稼働しているのは約50人しかいません。ですから、まずはいかにドミナント戦略も含めて事業所を多くし、一都三県を均一な配送が出来るようにするかというのが、当面の重要施策になってくると想います。

私の5ヶ年計画にも置いているのですが、来年は一都三県配送、その翌年に関東全域、その翌年には全国配送のところでネットワークをどう築けるかという部分を意識しています。そして5年目には、当社が『国際トランスサービス』という名前だけあり、海外配送も手掛けていきたいと考えていますね。

―――早野さんが物流企業を経営するに当たって大変だったことや、トラブルに見舞われたことはあったのでしょうか?

日々、一番頭を悩ませているのは事故です。いかに事故を削減できるかというのが一つの課題だと考えていて、どんなに順調にやっていたとしても、大きい一つの事故で信頼が崩れてしまいますし、被害者の方への対応等の時間もとられますし、費用もかかります。無事故・無違反は当たり前にやらなければならないというのは常に念頭に置いています。その部分は部長によく言っていますし、撲滅するための具体案を今錬っている状況です。

―――物流業界において、一般貨物と軽貨物のどちらが伸びていくと考えていますか?

どちらも伸びていくと考えています。ただ、長距離便などはドローンに取って変わられると言われていますが、こと日本に関しては、風土・文化的にもう少し先ではないかと考えています。結局、最終的には人と人とがいかに対応できるか、これが重要になってくるのではないでしょうか。

また、「いかに荷主様と直接契約できるか」という部分も重要になってくると考えています。例えばアマゾン様であれば、一次受けの配送会社は首都圏の場合5社と決まっているので、我々はもうその5社入ることはなかなかできません。つまり、それより下の層で受けることになります。すると、単価も下がっていきますよね。これをいかに避けるかというのは常に考えています。


 

―――今後、軽貨物業者として生き残っていく上での大切なこととはなんだとお考えでしょうか?

圧倒的に品質ですね。アマゾン様は、量を求めて一気に拡大した時期がありました。ただ、その結果、たくさんのクレームがアマゾン様本社に届き、配送においては量よりも質を高めなければならないという方針になったのです。突然、アマゾン様はそういう方針にした訳ですから、多くのデリバリープロバイダーはアマゾン様との契約を打ち切ったり、打ち切られたりした訳です。そんな中で、我々は品質に重きをおいてやっていたので、減車どころか増車することができました。つまりは、品質が大切なのです。

―――品質を高めるために、何を一番大切にしていますか?

先ほども説明しましたが、ピラミッド構造で物事を進めているので、何かがあった時にはチームで解決するというのをやっています。例えば、100個という目標がある中で、会社には70個できる人もいれば130個できる人もいます。だったら、70個しかできない人の30個を130個できる人に割り振ってあげなければなりませんよね。

―――なるほど。それはピラミッド構造だからできることですね。

―――最後に一言お願いします。

今この業界で年齢が75歳の方がいますが、例えば35歳の人から見たらこれから40年間第一線で仕事ができるということになります。そんな職業ってなかなかないですよね。また、弊社に面接を受けに来る求職者の方に「なぜ当社を志望されたのですか?」と尋ねると、「自分が持っている唯一の資格は自動車免許なのです。それで何ができるかなと考えた時に配送かなと。配送するのであれば、トラックは怖いので、軽貨物配送かなと。」という方が多いです。このことに関して言えば、確実に未来があります。

一般的に通常の面接は、振り落とす面接が多いのではないかと想っています。私は振り落とす面接というよりは、拾い上げる面接を行っています。もちろん書類選考で落とすことはありませんし、確実に面接を受けたいという方には100%面接を行います。「やりたいけど、業界未経験だから」と言った具合に、面接を受けに来る方は不安な訳ですよ。

むしろ、その求職者の良いところを引き出してあげようというのが私の面接です。ですから、不安に想うのだったらチャレンジして欲しいです。そしたら、この仕事の将来性や楽しさを私から直接お話しさせていただきますし、ここで頑張りたいと想ってもらえるようにできると考えています。


株式会社国際トランスサービス 早野社長



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株式会社国際トランスサービス

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